導きの星

導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

導きの星〈3〉災いの空 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

好きな作家、小川一水の代表作の一つ。読もう読もうと思いつつ4巻組と結構長いので先送りしていたもの。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50566943.html で取り上げられていたので、ちょうどよいと一気に読破。


やはり凄い作家ですよ小川一水は。この宇宙サイズの曼荼羅感というかフラクタル感を、あくまでライトにしかし重量感を維持して描ききれる人がどれだけいるか。


ほんとは大艦隊戦とか派手な場面があって然るべきだろうに(SFだもの)そこはぐっと押さえて本筋を外さず、世界観と人物を中心に据えて堂々と押し進んでいく物語。1本の木、1つの森から始まって最後は恒星間宇宙にまで無理なくスケールアップしていく筋運び。もう目玉をがっちり掴まれて物語世界に没入してしまう。最終巻のオセアノ人の決断には地球人として心打たれ、しばし感動。正統派ファーストコンタクトSFの傑作でした。


個人的趣味では、世間にあまり評判の良くない
疾走!千マイル急行〈上〉 (ソノラマ文庫) 疾走!千マイル急行〈下〉 (ソノラマ文庫)
「疾走!千マイル急行」の”つい好きな部分だけ筆が走りました”感も好きなのだけれども。